敷地は戸建てが並ぶ住宅地にあり、東西をレベル差の異なる道路で挟まれた土地である。
東側の道路が敷地より高い事が特徴的で、この高低差はそのまま室内床レベルへ現れ、様々な層が共存するインテリアを創り出している。
玄関から続くダイニングではその様子を一望でき、立体的なつながりを感じる事ができる。
中庭に面した通路を渡り、半階降りたスペースがリビングだ。レベル差が空間のボリュームにメリハリを与えてくれ、高さ３ｍを超えるリビングは開放的な空間になっている。
ソファーに座り、中庭へ目線を上げればその先には空だけが存在し、
ここが住宅密集地だという事を忘れてしまう。
敷地を最大限活用する為、地階も含めたフロアを敷地全体に広げたこの住宅は、地上階・地階・２階、この３つの階層をどこに居ても感じられ、まるで平屋住宅に身を置いているかのような伸びやかさも兼備する。
さらに回遊性を持たせたプランとする事で行き止まりを無くし、延べ
２７坪という事を感じさせない空間となっている。
２つの中庭に挟まれた開放的な浴室も特徴の一つである。
また、孤立しがちなウォークインクローゼットや階段室は部屋の一部
としつつ、天窓を配することで居住空間に光と広がりを積極的に取り
込んでいる。
天窓からの自然光が届くところはモルタル仕上げを基調とする事で
半外部的な空間とした。２つの中庭に加え、いくつもの庭が点在する
かのような室内空間を創出している。
